金属を寒いところに置いておくと自然に割れてしまうということはありません。
しかし,鉄やタングステン,モリブデンといった金属は,寒いところで力や衝撃を加えると割れやすくなります。
この現象は低温脆性(ていおんぜいせい)と呼ばれています。
1912年に北大西洋でタイタニック号が沈没したのは低温脆性により船体が割れたのも一つの原因と考えられているようです。
鉄などのように体心立方格子と呼ばれる結晶の構造を持つ金属や六方細密格子と呼ばれる構造を持つ金属に低温脆性を示すものがありますが,アルミニウムや銅のように面心立方格子を持つ金属ではこの現象は見られません。
フェライトと呼ばれる酸化鉄を主成分とする磁石に使われる素材も低温脆性を示すことが知られています。
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