Project2020親族調査記録

親族の身元調査10/26(石井)

白瀬南極探検隊員で情報が少ない隊員の「手がかり」を探りました。

  1. 安田伊三郎(やすだ いさぶろう)静岡県出身。船大工32歳。没年不明
  2. 釜田儀作(かまだ ぎさく)石川県出身。舵取り27歳。没年不明
  3. 渡邊鬼太郎(わたなべ おにたろう)愛媛県出身。舵取り29歳。没年不明
  4. 浜崎三男作(はまさき みおさく)大分県出身。火夫27歳。昭和28年8月3日没(第2次探検より参加)

●安田伊三郎の手がかり調査のため、静岡県教育委員会文化財課へ問い合わせしましたが、手がかり無いようでした。残念です。

●釜田儀作の調査で、石川県教育委員会文化財課に問い合わせしました。県立図書館が詳しいと言うことで紹介していただきました。076-223-9575でお話をしました。ホームページの「レファレンス受付」に問い合わせ事項を入力して送信してくださいということでした。その結果は以下の通りでした。

NPO白瀬南極探検100周年記念会 石井 様

石川県立図書館です。
ご依頼のご質問につきまして、以下のとおり回答します。

【質問要旨】

明治45年に日本人で最初の南極探検を行った、「白瀬南極探検隊」の隊員に石川県から加わった人が2名います。
「野村直吉」船長と「釜田儀作」舵取です。
その方の「ご子孫やご親族」を探しています。
どのような情報でも結構ですので、提供していただきますようお願いいたします。
当方のこのプロジェクトは今年度の目玉プロジェクトです。
11月末までの情報収集の結果を年度末にまとめて報告する予定になっています。
何卒よろくしご協力をお願いします。
このプロジェクトのホームページは「https://shirasenobu.com/」でご覧になっていただければ幸いです。
実は、野村直吉船長の情報はある程度把握していますが、釜田儀作舵取りの情報がほとんど無い状況です。

【回答】

まずはじめに質問について当館所蔵資料やデータベース、インターネット検索等の方法で調査しました。すでにご存じの事柄もかなりあるのではないかと思われますが、回答については以下のとおりです。

〇「野村直吉」船長
当館所蔵資料を確認したところ、以下の記載がありましたのでご紹介します。

『「野村直吉」と「東善作」』p16-19「直吉・善作略年表」
・慶應3年(1867)0歳 9/7一ノ宮村に直吉生まれる。西東勘右衛門、きよの二男
・明治33年(1900)32歳 5/21兄・勘吉(39才)、分家届出、一ノ宮村より函館区大黒町へ移る この頃、兄・勘吉宅を基に生活か?
・明治37年(1904)37歳 11/27直吉、陸軍輸送船「須磨浦丸」の2等運転士(軍功により、直吉は勳6等端宝章、勘吉は金鵄勲章)
・昭和8年(1933)67歳 10/17東京都足立区千住本町2丁目9にて没
p8「生還後の直吉」日本に生還後、遠洋航路の船長を歴任から最晩年にかけてが記述されていました。関東大震災か何らかの理由で財産を失い妻子に有利となるよう整理した、とありましたが詳しい親族情報については記載がありませんでした。

『野村直吉船長航海記』p180-181
「生家の屋号は「カンジャ(鍛冶屋)」だが、父も兄も北前船の船頭だったという。学歴は不明。青年期は、兄と同じように一ノ宮村出身で、当時大阪を根拠地とした海運業・北海海産物問屋「西村屋」の船に乗っていたと思われる。」

『わが郷土いしかわ 第2集』p16に「彼はのちに妻の実家の実家の野村姓を名のったが、生家は西東という姓でもわかるように代々北前船の船頭をつとめた家柄で、・・・略。」とありますが、
『広報はくい』平成14年4月号(通巻595号)p12「シリーズ人物はくい史 南氷洋に挑んだ男・野村直吉 第2回気多の海からの旅立ち」(若狭康子/著)においては
「直吉が明治36年頃までには青森県の野村金史(きんし)と出会い「野村」の姓を名乗るようになったようだ。」とありました。
また「29歳の時に一ノ宮村の有力者の家の入り婿となったがそちらには寄り付かず、南極探検に出かけ、一ノ宮の婚家と正式に離縁したのは生還後であった」とありました。婚家の名前などについての記載はありませんでした。

『北國新聞』平成8年9月6日 p29「南極公開の遺品「里帰り」羽咋出身・野村直吉の親族 市に180点を寄贈」
「日本最初の南極探検船「海南丸」の船長として活躍した羽咋市出身の野村直吉の遺品約百八十点が五日までに、北海道に住む直吉の親族から同市歴史民俗資料館へ寄贈された。遺品は直吉が残した貴重な航海記録も含まれている。~(中略)。
遺品は直吉のおいに当たる永野志郎氏の妻ハルヨさん(90)=北海道七飯町=が保管していた。~(略)。」

当館においては親族に関する情報についてはこれ以上はわかりかねます。野村直吉船長が石川県羽咋市出身であることより、以下の施設等にたずねてみられたらもしかすると何か手がかりを得ることができるかもしれません。

・羽咋市歴史民俗資料館ホームページ(https://www.city.hakui.lg.jp/rekimin/index.html)
・石川県羽咋市公式サイト(https://www.city.hakui.lg.jp/)



○「釜田儀作」舵取
石川県立図書館ホームページ【石川県関係人物文献検索データベース】(https://www4.library.pref.ishikawa.lg.jp/)において“釜田儀作”を検索しましたがヒットしませんでした。

インターネット検索において“釜田儀作”で検索したところ「南極OB会会報 №18」(平成25(2013)年1月31日発刊)というPDFが出てきました。
http://www.jare.org/jareOB_Hc/ob_magazine/jareOB_magazine_18_H250131.pdf
ご紹介いただきました貴「NPO白瀬南極探検100周年記念会」ホームページにおいて南極OB会についてリンクが貼られていましたのですでにご存じかもしれません。

p12-13 連載支部便り⑭(北陸支部)「北陸支部総会と「釜田儀作氏のご子孫を囲む会」記事本文中に「名古屋の大治町から参加された釜田健二氏は 儀作の代から見ると 3 代後のご子孫ということになります」とありました。

当館所蔵「名古屋北西部版 海部郡大治町」の2020.10電話帳を探しましたが釜田健二氏のお名前は載っていませんでした。「ネットの電話帳 自由な電話帳報道サイト」(https://jpon.xyz/)にて釜田健二氏を検索したところ、2007年版がヒットしました。
確証は持てませんが、何か手掛かりを得る事ができるかもしれないと思いましたので参考としてお知らせいたします。

また、同会報に釜田儀作氏は北前船に乗り込んでおり、健二氏が幼少期、小松市の北前船の船着場である安宅(あたか)で過ごしたとありました。


北國・富山新聞データベースサービスにて“釜田儀作”について確認したところ以下の記事見出し1件がヒットしました。
◎謎の県、顕彰へ調査 白瀬南極観測隊 OB会北陸支部、広く情報募る 「舵取」の釜田儀作
掲載日:2011年01月29日(土) 朝刊 21頁
「南極観測隊の元隊員らでつくる南極OB会北陸支部は、約100年前、白瀬矗(のぶ)を隊長とする日本初の南極探検隊の木造船「開南丸」に船長の野村直吉=羽咋市出身=とともに乗り組んだ石川県人、釜田儀作の調査に乗り出した。
優れた航海技術で南極に挑んだ野村の功績が知られる一方、釜田の生い立ちや経歴は分かっておらず、広く情報を募り、顕彰を進める。~(略)。」

10年近く前の出来事で、南極OB会北陸支部に釜田儀作氏の情報とともに親族についても情報が寄せられている可能性も考えられましたので一度おたずねになられてみてはいかがでしょうか。すでに確認済でしたら申し訳ありません。
・南極OB会(http://www.jare.org/JAREOB_Hc.html)

「野村直吉」船長、「釜田儀作」舵取の両者とも北前船に乗っていたとのことから当館所蔵自治体史や北前船関連の資料についても確認しましたが、本人または親族につながる情報を得ることはできませんでした。


以下の資料を確認しました。
1. 「野村直吉」と「東善作」 羽咋市歴史民俗資料館[編] 羽咋市歴史民俗資料館・2005.10 K069/1012  
2. 野村直吉船長航海記 野村/直吉[著] 野村直吉船長航海記出版委員会編 成山堂書店・2012.5 299.8/ IQ   I   
3. 広報はくい 通巻595号~通巻606号  羽咋市・   
4. 氷海に挑んだ男「野村直吉」 羽咋市歴史民俗資料館[編] 羽咋市歴史民俗資料館・1996.10 K289/461  
5. 新修羽咋市史 近現代 通史編 羽咋市史編さん委員会編集 石川県羽咋市・2008.7 K218/1002 p257 野村(西東)直吉と南極探検
6. 一ノ宮の歴史 羽咋市立一ノ宮公民館[編集] 羽咋市立一ノ宮公民館・2001.3 K218/1001 p284 野村(西東)直吉 南極探検隊の船長として参加
7. 石川県史 第4編 石川県編 石川県・1931 K209/5/4  
8. 石川県羽咋郡誌 羽咋郡役所編 臨川書店・1985.11 K217/21  
9. 羽咋市史 現代編 羽咋市史編さん委員会編 羽咋市・1972 K218/4/4  
10. わが郷土いしかわ 第2集 読売新聞社編 読売新聞社・1968 K290.1/28/2 p16 
11. 新修小松市史 10 新修小松市史編集委員会編集 石川県小松市・2010.12 K226/1001/2-10  
12. 安宅新町史 岡田 孝編 安宅新町・1994.8 K226/61  
13. 北前船 三訂版 牧野/隆信著 柏書房・1972.2 K683/1045  
14. 加州安宅港 茶村 外雄著 茶村外雄・2006.1 K683/1017  


以上です。

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石川県立図書館
利用サービスグループ調査相談担当 直江
〒920-0964
石川県金沢市本多町3丁目2番15号
TEL    : 076-223-9575
E-mail : ref@library.pref.ishikawa.lg.jp
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そして愛媛県、渡邊鬼太郎の手がかりは愛媛県人物博物館、県生涯学習センター、そして県立総合科学博物館、結果的に「愛媛県立図書館の愛媛資料室」の小笠原さん(司書)に調査をお願いしました。後日留守電に「残念ながら資料を見つけることはできませんでした」と入っていました。ご苦労かけました。

最後は大分県の浜崎三男作の手がかりですが、大分県教育委員会教育文化班、県立図書館(097-546-9972)の渡辺さんにお世話になりました。やはり情報を探すことはできない旨の連絡をいただきました。ご難儀かけました。大分合同新聞データベース部(097-538-9616)のアサヒさんという方にも、新聞社のデータベース検索をお願いしましたが、ヒットせず残念な結果に終わりました。

ご協力いただいたみなさま、本当にありがとうございました。

引き続き、アンテナを高くしていただければ幸いです。☺️

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