会報

会報1:寄稿 白瀬南極探検隊に関する調査研究について

佐藤 忠悦  調査専門委員会会長

 平成2年に「白瀬の偉業に学び、世界に羽ばたく青少年の資質を磨き、エネルギーをふくらませる場であってほしい」と建設された白瀬南極探検隊記念館。

開館にあたって名誉館長の故村山雅美は「仏作って魂入れず」の誹りを受けないようにと助言している。

魂とは白瀬の精神であり、館の内容を充実させるための調査研究を怠ってはならず、単なる資料の展示閲覧の場であってはならないという戒めでもあった。

 開館以前の白瀬に関する参考書籍は

  「私の南極探検記」(白瀬矗著)、

  「白瀬中尉探検記」(木村義昌・谷口善也著)、

  「雪原へゆく」(白瀬京子)、

  秋田魁新聞に連載された「よみがえる白瀬中尉」(渡部誠一郎著)等で、

開館後に木村義昌先生から膨大な書籍資料等の寄贈があったが、スタッフ不足から精査する余裕もなかった。

参与の先生方からは再三学芸員の配置を要望されていたが叶わず、資料の整理、収集、調査研究は遅々として進まなかった。

 そういう中、平成12年、犬橇係として白瀬隊に参加した樺太アイヌ隊員山辺安之助と樺太犬の慰霊と調査が有志によって現地サハリン・レースノエ(日本名:落帆)で行われたことは特筆すべきであろう。

 平成21年、砕氷艦「新しらせ」が就航し、同年3月には白瀬南極探検100周年を迎え、全県挙げての白瀬の南極探検の偉業を讃えた。

記念館に対する認知度も高まり、念願の学芸員が配置され調査研究がすすめられるようになった。

 平成24年には100周年実行委員会の理念を引継ぐ、当NPOが結成され、平成26年に会員の中から調査専門委員を委嘱し、委員による白瀬隊に関する調査研究、検証が進められている。

委員会による日頃の研究発表会が30年1月に秋田市で開催、11月には東京で開催された。

各委員の研究の深さに感動するとともに、検証の取組みに対し、心より敬意を表するものである。

これらの貴重な研究成果を保存し、どのように開示していくかが今後の課題である。

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