昭和基地周辺では12種の魚類が確認されていますが,基地のすぐ近くでよく釣れるのはショウワギス(学名 Trematomus bernacchii)と呼ばれる魚です。
凍った湖でワカサギを釣るのと同じように海氷上にドリルで穴を開け,肉やイカの切り身を餌にして釣ります。
外見は日本でもよく見られるハゼやカジカなどに似ていますが,南極海にそのほとんどが分布するノトセニア科に属する魚です。
岸の近くの深さ10数mの海底で釣れるショウワギスは大きさ20cmくらいまでのものがほとんどですが,30cmくらいのものもいるようです。
ショウワギスの仲間の魚は血液中に糖たんぱく質を蓄えて自らを凍りにくくして寒冷な海に適応しているとされています。
しかし,外気温が氷点下10度以下のところに釣りあげられると,やがて動きを止めて凍ってしまいます。
ショウワギスには浮袋がありませんが,体内の脂肪を多くし,骨のカルシウムを少なくすることで泳ぎやすい体になっているようです。
ショウワギスは白身でさっぱりとした味で,昭和基地では刺身やから揚げにして食べることもあります。
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