Project2020親族調査親族調査親族調査2020報告書

■Epilogue:エピローグ

にかほ市よりNPO白瀬南極探検100周年記念会に表題について委託され、110年前明治の時代に南極を目指した白瀬隊長始め、隊員親族の皆様の所在を追う事となりました。記念館の資料などみますと、探検70周年頃に調査した記録のある隊員、あまり資料が残っていない隊員と千差万別です。

近年、親族の方が記念館を訪れてくれた写真など挟んであったりするものもありました。阿部館長は「ご縁あって訪ねて来ました。」と話していただけると大変嬉しく、親族調査の上にも助かるのだが、おそらく一般来館者として名も告げずに帰って行かれる方もいらっしゃる事だろうとのことでした。

2012年(平成24年)には探検隊南極到達100周年記念の式典が立川市の国立極地研究所において開催され、参列してくださった方々がいらっしゃいます。その時にご案内したご親族、白瀬記念館と連絡を取り合っている人たち、まずはその時の情報からその後のその人たち、その人たちの次の世代につながっていくようにと、まずはこのたびの調査に至った経緯と、その意義を記した趣意書とともに調査書を郵送するところから始めました。後援会4件含め87通発送し、回答52件、宛て先不明にて返戻19件でした。

次の10年20年と将来を見据えるなかで、親族の皆様にはぜひ子どもさん、お孫さんに「遠い明治の時代に南極を目指した〇〇というおじいさんがいたんだよ」と話してあげてください。そしてぜひ秋田の白瀬記念館にお出かけください。探検隊の足跡、その後の日本の南極観測への道を開いた功績をご覧いただけます。記念館の立地をお話しますと、実物大の開南丸アスレチックがある南極広場と、春には満開の桜の木々に縁取られる竹嶋潟と、その向こうにそびえる鳥海山が臨めます。

話は変わりますが、過日秋田県立大学の先生方と親しくお話する機会がありました。「NPO白瀬でこんな取り組みしております」と話したところ、県外出身の建築環境システム学科のI教授が「なぜ白瀬記念館の建築デザインを手がけたのが黒川紀章氏なのか?」と積年の疑問のようでした。そこで白瀬中尉のお孫さんである白瀬潤氏が黒川事務所に勤務であったご縁により成し得たことで、とお話しすることができたのです。

一市民の私たちにおいても、シンプルでありながら強烈な印象を残してくれる、南極の氷山を模したデザインの記念館は望外の誇りでありますが、建築の専門家の方々においてはやはり黒川紀章氏は名だたるビッグネームなのだと、強く印象付けられたでき事でした。

最後に調査にご協力いただきました親族、関係者の皆様に深く感謝申し上げます。連絡したご親族の中には、将来的に自ら高齢となることを考慮して、子ども世代に繋げてくださった方もいらっしゃいました。親族調査の趣旨をご理解いただきましたことに衷心より感謝申し上げます。本冊子中における所在地等は個人情報に配慮した形で掲載したことを申し添えます。

NPO法人白瀬南極探検100周年記念会  石井 久美子

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